円形脱毛症
東京医科大皮膚科教授 坪井良治
円形脱毛症は比較的よくある病気で、突然、円や楕円の脱毛部分が1か所
あるいは数か所できる病気です。
重症型になると1~2ヶ月でほとんどの頭髪がなくなることがあります
原因はかねてストレスが強調されていましたが、
今では毛根を標的として、自己免疫疾患の一つと考えられています。
髪そのものに問題は無いのですが、体を外敵から守っていてくれている
血液のリンパ球が、毛根を異物や菌と間違えて攻撃するのです。
その結果、毛が抜けてしまうことになります。
この攻撃メッセージが体内に残っている限り、脱毛を繰り返すことになるわけです。
精神的ストレスや体調不良は発症の引き金にこそなれ、
真の原因ではありません。
遺伝的素因やアトピー性皮膚炎、甲状腺疾患が影響することもあります。
この攻撃命令を完全に消去する治療法は現在のところありません。
脱毛したあとが、1~2か所の場合は放置しても自然に治りますが
脱毛個所が増える場合や3ヶ月経過しても治らないときには、
皮膚科専門医による適切な治療が必要となります。
治療は副腎皮質ホルモン薬を外用します。
それでも治りにくい場合は副腎皮質ホルモン薬の注射や
液体窒素療法を、さらに脱毛範囲が広い時は、
局所免疫療法が行なわれます。
これは皮膚に人工的にかぶれを起こし、毛根を攻撃するリンパ球が
脱毛部分に集まらないようにする治療法です。
再発を防ぐには
「髪は1ヶ月に1cmしか伸びないんだから気長に治療していこう」
と心身ともに余裕を持つことが大切です。
抜けた髪の毛の本数を数えたりしてはいけません。
それがストレスとなって悪循環になってしまいます。
日常は疲れが残らないように睡眠をしっかり取り
バランスのよい食事を心がけて、
深酒やタバコはできるだけ避けましょう。
毛根を傷つけないようにやさしく洗いましょう。
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