円形脱毛症

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2011年01月13日 22:15

東京医科大皮膚科教授 坪井良治

円形脱毛症は比較的よくある病気で、突然、円や楕円の脱毛部分が1か所

あるいは数か所できる病気です。

重症型になると1~2ヶ月でほとんどの頭髪がなくなることがあります

原因はかねてストレスが強調されていましたが、

今では毛根を標的として、自己免疫疾患の一つと考えられています。

髪そのものに問題は無いのですが、体を外敵から守っていてくれている

血液のリンパ球が、毛根を異物や菌と間違えて攻撃するのです。

その結果、毛が抜けてしまうことになります。

この攻撃メッセージが体内に残っている限り、脱毛を繰り返すことになるわけです。

精神的ストレスや体調不良は発症の引き金にこそなれ、

真の原因ではありません。

遺伝的素因やアトピー性皮膚炎、甲状腺疾患が影響することもあります。

この攻撃命令を完全に消去する治療法は現在のところありません。

脱毛したあとが、1~2か所の場合は放置しても自然に治りますが

脱毛個所が増える場合や3ヶ月経過しても治らないときには、

皮膚科専門医による適切な治療が必要となります。

治療は副腎皮質ホルモン薬を外用します。

それでも治りにくい場合は副腎皮質ホルモン薬の注射や

液体窒素療法を、さらに脱毛範囲が広い時は、

局所免疫療法が行なわれます。

これは皮膚に人工的にかぶれを起こし、毛根を攻撃するリンパ球が

脱毛部分に集まらないようにする治療法です。

再発を防ぐには

「髪は1ヶ月に1cmしか伸びないんだから気長に治療していこう」

と心身ともに余裕を持つことが大切です。

抜けた髪の毛の本数を数えたりしてはいけません。

それがストレスとなって悪循環になってしまいます。

日常は疲れが残らないように睡眠をしっかり取り

バランスのよい食事を心がけて、

深酒やタバコはできるだけ避けましょう。

毛根を傷つけないようにやさしく洗いましょう。


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