美容界に炭酸ブーム CO2が肌に潤いと血行
飲料や入浴剤などでおなじみの「炭酸」が、美容に効果的としてブームとなっている。
スキンケアに取り入れると、肌のくすみ・
吹き出物・黒ずみなどが改善されるというのだ。
炭酸パックや炭酸ミストなどの商品も続々登場し、
美容に敏感な女性たちから熱い視線が注がれている。
専門家によると、炭酸が美肌をつくる理由は二酸化炭素(CO2)にあるという
◆体の仕組みを利用
炭酸はCO2が水に溶けたもの。
有馬温泉(神戸市北区)の炭酸泉や、
お湯に溶かすと炭酸ガスが発生する入浴剤、
飲用の炭酸水やシャンパンなどは、広く知られた“炭酸商品”だ。
最近では「炭酸水で顔を洗うと肌のくすみが取れる」などと
炭酸の美容効果が口コミで話題となり、
炭酸ガスを含ませたスキンケア商品などが注目を集めている。
「炭酸商品は人間の体の仕組みを利用したもの。形は変われど廃れることはないでしょう」
と話すのは、『炭酸美肌術』(幻冬舎、1260円)などの著書がある
医学博士でメディオン美容皮膚クリニック(大阪市淀川区)の日置(ひき)正人院長。
ドクターメディオン(東京都中央区)の人気炭酸パック「スパオキシジェル」(6回分、9660円)の監修者でもある。
日置院長は「体内では赤血球の中で炭酸が常につくられています。
炭酸がなくては生きていけません」と話す。赤血球中のヘモグロビンは、呼吸によって取り込んだ酸素を体内組織に運ぶ役割を担っている。
細胞が排出したCO2がヘモグロビンに取り込まれると、水と結びついて炭酸ができる。
それが重炭酸イオンと水素イオンに分かれると、ヘモグロビンは酸素を放出して細胞に供給する。
しかし、新陳代謝が滞ってCO2の発生が減ると、
ヘモグロビンが酸素を放出しないので、細胞は酸素が欠乏して衰える。
すると、肌のターンオーバーが乱れて角質細胞が厚くなり、
肌の潤いが失われたり、毛穴がふさがれてニキビなどの原因になったりする。
そこで、炭酸泉につかるなどして皮膚から炭酸ガスを取り込めば、
体は「細胞が次の酸素供給を求めているように錯覚」(日置院長)。
ヘモグロビンが酸素を放し、細胞が生き生きとして肌も健康な状態になるというわけだ。
◆血行改善効果も
また、CO2には血管を広げて血の巡りを良くする効果がある。
医療現場でも血行改善のために体を温める例が数多くあるが、「
欧州の高濃度炭酸泉は水温が30度程度でも、
毛細血管が拡張して肌の赤みが増します。これは温度ではなくCO2による効果でしょう」(日置院長)。血流が良くなると、肌のくすみが取れて顔色が明るくなったり、むくみが取れたりする。